地方競馬騎手の時代
外人が席巻している今の日本競馬。しかし、数年前、それは外人ではなく「地方競馬出身騎手」であった。名古屋競馬のレジェンド「アンカツ」こと安藤勝己を始めとして、内田博幸、岩田康成、そして戸崎圭太。
G1を勝ちまくり、リーディングも制す。中央の騎手は何をやっているんだという声もあったが、やはり乗っている数が違う分、地方騎手の腕が確かという事なのだろう。
そんな地方競馬の騎手にあって、現在、上手いとされる騎手は誰であろうか。また、その騎手は、地方競馬騎手の活躍から考えると、実は「日本で一番上手い日本人騎手」なのかもしれない。
地方競馬騎手のナンバーワンは?
名の売れたところでは、赤崎(高知)、吉原(金沢)、御神本(南関東)、吉村(園田)、森(南関東)といったところであろうか。他には北海道の石川倭、南関東の瀧川、園田の石堂あたりが有望か。
常に同じ舞台で勝負していない分、優劣は付け難く、誰を持ってNo.1と言うかは難しいが、少なくとも「最も勝ち星の多い騎手」が下手という事はないだろう。
そうなると、8月15日現在、地方競馬の全国リーディングで2019年度の勝ち星1位(204勝。2位は吉村の203勝)、2015~2016年は勝ち星トップ、収得賞金では2015年~2018年までトップに輝いている、森泰斗騎手がNo.1と言ってもいいのではないだろうか。
森泰斗騎手
その森泰斗騎手であるが、私は全く知らずにいて、内田、戸崎の抜けた南関東にあって、いつの間にかリーディングになっていたという認識であった。そこで調べてみると、戸崎の抜けた2013年から2018年の6年間で南関東リーディングを4回というから、知らぬ間というよりは、石崎、的場、内田、戸崎と続く南関東トップジョッキーの正当な後継者という感じである。
その森泰斗騎手の名前「泰斗」とは、「泰山北斗」の略であり、「泰山」は中国五岳に数えられる名山であり、「北斗」は言うまでもなく「北斗星」の事で、誰からも仰ぎ見られる、敬意すべきものという意味で、その道の大家、第一人者を指すというから、まさに名は体を表すだ。
しかし、その騎手人生は順風満帆という訳ではなく、1998年に足利競馬場でデビューするも、遊びに夢中になり2000年に引退してしまう。
その後、思い直して2001年に免許を再取得するも、足利競馬場が2003年に廃止され、同じ北関東の宇都宮競馬場へと移籍する。しかし、その宇都宮競馬場も2005年に廃止され、南関東の船橋競馬場への移籍を余儀なくされる。
2006年からの勝ち星は32勝16勝47勝65勝と伸び悩んでいたところ、2010年に114勝してからは順調に勝ち星を伸ばし、2011年169勝、2012年170勝、2013年186勝、そして遂に2014年には252勝して南関東リーディングにまで登り詰める。
この成績だけをみると、遅咲きの苦労人といった感もあるが、まだ38歳の働き盛り。なお、中央で活躍する同期の戸崎圭太は39歳。
ここまでくると、やはり中央競馬への移籍という話がチラホラ出てくるが、こちらは少し問題もあるようだ。それが「ブログでの中央競馬騎手批判」である。
ブログでの批判
2007年と随分昔の話であり、時効じゃないかという気もするが、こういう話はなかなか消えてはいかない。そのブログとは、こういうものだったらしい。
2007年2月17日(土)
そういえば中央の騎手って上手な騎手が多くて皆さんそつなく乗るってイメージだったけどテレビで京都のレースの中継見てたら僕あたりがいうのもおかしいとは思うんですがひどい騎手いたなぁ・・・・・
馬まっすぐ走れてないのに全然立て直せなくてステッキ持ち替えて修正すればいいのに、あげくのはてにはゴール前は余裕なくて内ささってる馬左ステッキで追ってました。
そういえばこの前の東京のダート戦でも同じ事やってたし・・・
でも中央の一流騎手でございって振る舞ってる&船橋とかたまに来てもその人めちゃくちゃ感じ悪いからね実は。
でもその虚栄を張ってる気持ちはわからなくもないし雰囲気は嫌いじゃない。
日のG1は頑張ってほしい、馬券は買わないけどヾ( ̄◇ ̄)ノ))
なんか慌てて書いてるんでもし感じ悪いブログになってたらごめんなさいm(__)m特に意味はなくて今日思
った事を書いてみました
森泰斗公式ブログから引用
これはその日の京都競馬のメインレース、京都記念の福永騎手(スウィフトカレント、5着)の事を言ってるらしい。2007年というから、森泰斗騎手もまだまだ一流とは言えない若い頃であり、若気の至りや中央騎手への反感もあり、こういう表現になってしまったのだろう。
しかし、これをJRAがどう見るか。同じく地方競馬のトップジョッキーの吉原(金沢)は、その腕には定評があるにもかかわらず、JRAの騎手免許試験に合格せず、遂には願書の受付を拒否されたというが、それもこれも金沢競馬と吉原に付きまとう「八百長疑惑」が原因という。
JRAはこういう事には敏感であり、わざわざ望んで混乱を招くような騎手を合格させることはない。その点、森泰斗騎手も若い頃とはいえ、このような事があった事はマイナスにしかならない。
個人的には、芸能やスポーツの世界の人間に「清廉潔癖」は求めていないが、今の時代、理解されにくい。しかし、森泰斗騎手の勇姿を中央で見てみたい気もする。地方競馬からやってきた騎手が、外人を抜き去り先頭でゴールを駆け抜ける。
そんな景色を見てみたい。
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