第2話 裏目氏と殺陣メ氏

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今日は、私の職場の上司、と言っても余所の部署だから上司と言うよりは「偉いさん」と言ったほうが正確だろうか。その偉いさんから厳選した二人を紹介しよう。一人は総務課長の裏目氏こと裏目 北蔵(ウラメ キタゾウ)、そしてもう一人は人事課長の殺陣メ氏こと殺陣メ 三十五(タテメ サンジュウゴ)だ。どちらも愛すべきダメギャンブラーである。

裏目氏と言えばうらめし、幽☆遊☆白書の浦飯幽助(うらめし ゆうすけ)を思い出す人も多いだろうが、我らが裏目氏は霊感も勝負勘もまるで皆無という悲しい、「裏目」を得意とするダメギャンブラーである。

見た目のほうはというと、100kgを優に超えるデブで天然パーマという、こちらも☆(ほし)を持つ「つのだ☆ひろ」にそっくりで、表では裏目課長と呼んでいるが、裏では小学生並のストレートさで単に「デブ」と呼ばれている。

裏目氏の名を世に知らしめたのは、快速馬が集う冬の名物短距離戦、2008年の2月のシルクロードS。アストンマーチャンという名の3歳牝馬にして前年のスプリンターズSで並み居る古馬を一蹴し、勝利を得た名牝の引退レースである。

このアストンマーチャンは、ウオッカとダイワスカーレットの同期にして、桜花賞ではウオッカに次ぐ2番人気に指名された強い世代の強い牝馬だった。なお、その名前はイギリスの自動車「アストンマーティン」と、馬主である医師の戸佐眞弓さんの愛称「マーチャン」から来ているというが、それもまた可愛く洒落ている。

裏目氏の最初の裏目となったのは、短距離界の王を決める秋の風物詩、2007年のスプリンターズS。我らが裏目氏は「古馬と初対戦した前走の北九州記念、単勝1.8倍もの指示を受けるも直線伸びきれず6着。やはりまだ3歳の牝馬には厳しい舞台。ここも苦しい。」とバッサリ切ったところ、雨中の不良馬場を見事に逃げ切った。

続く裏目となったのは、アストンマーチャンの次走、スワンS。前走でこの馬の強さを見せつけられた裏目氏は、このレース全力でアストンマーチャンからの総流しを賭ける。

前走で不良馬場への適性を見せたところ、このレースも稍重。1400mという距離は少し長いとの声もあるが、同じ距離のフィーリーズレビューでは、相手が弱かったとはいえ単勝1.1倍の人気に応え、3~4番手から抜け出す横綱相撲で2馬身半差の圧勝。むしろ1400mのほうがいいとも思える。

そして鞍上は前走、乗り替わりで見事アストンマーチャンにG1の初戴冠をもたらした中舘。勝ってくださいと言わんばかりの舞台である。1番人気ではあるが、本来なら1倍台でもおかしくないところ、単勝オッズは3.6倍。おそらくこんな人気で買えるのは最後だろう。

とここまで、まるで「2万負けた」の流れそのまま、フラグが立ちまくり感が強いが、結果もまさにそのとおり。アストンマーチャンは直線いいところなく失速し、14着の大敗を喫す。そして放牧の後、翌年の2008年2月のシルクロードSで復活の狼煙を上げるべく復帰することとなる。

その復帰戦となるシルクロードSでは、桜花賞(ダイワスカーレットの7着)以来の武豊を鞍上に単勝2.5倍の1番人気に推される。それだけの期待をかける価値のある馬、という評価の現れである。

鞍上にはレジェンド武豊を配し、万全の体制で挑むこの復帰戦、裏目氏は女房を質に入れる覚悟(現実はアラフィフの独身だが)で単勝をしこたま買ったが、結果は10着。レース後はチャーシューならぬ真っ白な灰になったという。

まさに買わないと来る、買うと来ないという典型的な裏目続きであるが、この逆にスプリンターズSで3番人気のアストンマーチャンを買い、1番人気となったスワンSとシルクロードSで買わなかったという猛者もいるはずで、それも競馬らしい悲喜こもごもである。

裏目というのは奥が深い。裏目が続いたからといって敢えて裏を買うと今度は表がくるなど、まるで神の手で操作されているか、どうやっても思い通りにならない運命ではないかと思えるほどだ。

じゃあ、どうすればいいのかというと、ズバリ「流れが悪い時は買わない」これに尽きる。しかし、それじゃあ楽しくないし、裏目氏のようなエピソードも生まれない。

人生を旅に例える事も多いが、もし旅だったとしたら、買って散るのもまた楽しい。

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