馬名の話〜冠名

競馬のハナシ
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馬名といえば冠名だった

私が競馬を始めた平成元年あたりは、馬名といえば冠名(かんむりめい、かんめい)のついたものが殆どであり、どの出馬表をみてもロングやメイショウやツルマルで始まる馬ばかり、東の強い馬はみんなサクラで始まるということに違和感は全くなく、それが普通の事だと思っていた。

これは相撲も好きだった私から言わせると、佐渡ヶ嶽部屋が琴の四股名で始まるのと同じもので、同じ一門の馬はそうやって馬名をつける慣わしなのだろう、くらいにしか思っていなかった。

しかし、その後、競馬に関する書籍に触れることが増え、「海外では親の名前にちなんだ名前を付けることが一般的であり、それは血統のスポーツである競馬の根本だ。日本の冠名はけしからん話だ。」というような記事を読むにつけ、違和感と疑問を持つようになった。

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海外での馬名の付け方

当時、種牡馬と言えば10度のリーディングサイヤーに輝き、その産駒は「3度変わる(成長する)」と言われ自身も産駒も長く活躍した大種牡馬、ノーザンテーストであるが、その馬名の由来はこうだ。

種牡馬候補を探し、アメリカのサラトガ競馬場のセリに駆け付けた吉田照哉氏(現社台ファーム代表)は、当時その評価がうなぎ昇りとなりつつあった、ノーザンダンサーの直仔である1歳馬をセリ落とした。

その報告を、当時の社台ファーム代表である父善哉氏にした際の照哉氏の「日本に帰って寿司(魚との説もある)を食べたい。」との言葉と、父ノーザンダンサー(北の踊り子)から「ノーザンテースト」(北の味覚)と名づけたということだ。

父ノーザンダンサーは言わずと知れた世界的大種牡馬であるが、その代表産駒ニジンスキーの名は、ロシアの伝説的舞踏家であるヴァーツラフ・ニジンスキーから名付けたものであるし、その他の産駒もヌレイエフ(ダンサー)やサドラーズウェルズ(劇場)など、バレエに関する名前が多い。

逆に言えば、その馬の名前からおおよそ父馬が分かるということであり、例えばリファール(バレエダンサー)の父がノーザンダンサーでないかと想像することもできる訳だ。これぞブラッドスポーツというところであり、競馬が文化たる所以(ゆえん)でもある。

ちなみに、ノーザンダンサーの父はニアークティック(新北区という生物地理区。メキシコ北部以北の北アメリカ大陸。)と言い、母の父はネイティブダンサー(原住民の踊り)という名で、その連想からノーザンダンサーという名が付いている。

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日本での問題

日本ではこうはいかない。馬名からその血統背景は想像できず、誰の馬か(馬主が誰か)という事しか分からない。そう、日本の冠名における一門とは、同じ馬主という事なのだ。

厳密に言うと馬名から父親が全く分からない訳ではない。あのオグリキャップの馬名は冠名「オグリ」+父親の名前(ダンシングキャップ)の一部「キャップ」から来ている。

しかし、これが続くとどうなるか。オグリキャップとオグリの冠名を持つ牝馬の仔はオグリオグリになるのか?アドマイヤ同士ならアドマイヤアドマイ(馬名は9文字まで)なのか、アドマイヤドマイヤになるのか。

そうなると、やはり冠名というのは特に種牡馬になるような馬の場合困る。しかし、一方で冠名のもつ魅力というものもある。

例えば、今は懐かしい「メジロ」の冠名。これなどはその冠名を見ただけで長距離なら「買い」だと分かる。「サクラ」ならクラシック路線では「買い」だし、「メイショウ」は小倉なら狙いたい。

小倉といえば「テイエム」と「カシノ」の対決もあるし、今年の「シゲル」軍団は何シリーズだろうか?というのも毎年の楽しみだ。私が競馬を始めた頃には「イイデ」確変というのもあり、その1991年はイイデサターン、イイデシビア、イイデセゾンの3頭がクラシックを賑わせた。

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良くも悪くも日本の文化

冠名と枠連は、日本独自(冠名は他の国でもあるらしいが。)の競馬文化であり、本来あるべき競馬の姿からは離れているのは承知の上で、それもまたいいものだと言ってみたい。

枠連のほうは、それだけだった時代とは違い馬連があるし、馬名も今は世界標準的な付け方になってきている。例えば3冠馬オルフェーヴル。意味はフランス語の「金細工師」なのだが、父はご存知「ステイゴールド」で、母が「オリエンタルアート」。

2018年ダービー馬のワグネリアンは「ワーグナー(作曲家)の熱狂的ファン」という意味のドイツ語である。父はディープインパクトで母はミスアンコールといった具合だ。

今や世界と肩を並べるまでになった日本競馬。文化としての競馬のほうも、世界に届きそして追い抜きたいものである。

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